要旨
急性期病床において入院時から低栄養もしくは低栄養リスクのある高齢患者は多く,日常生活動作(activitiesof daily living;以下,ADLと略)の維持・向上,在宅復帰のためには,入院早期からの適切な栄養療法やリハビリテーションによる骨格筋量の維持が必要である.血液検査値から得られる栄養指標であるcontrolling nutritional status(以下,CONUTと略)値と患者背景・炎症・在院日数・転帰等との関連を調査した結果,入院時CONUT値5以上は在院日数の長期化に繋がり,死亡転帰の危険因子である可能性が示唆された.主観的包括的評価のみの栄養評価では体重減少のない炎症に関連する低栄養リスクを見逃す可能性がある.CONUT値は炎症に関連する低栄養リスクも抽出し得る指標であり,栄養療法が必要な患者を抽出するための栄養評価項目の一つとして入院時CONUT値算出は有用と考える.
学会誌JSPEN Vol.1 No.4
高齢患者における入院時CONUT値算出の有用性
著者
脇坂典子1),畑中那奈子2),玉田千秋3),三宅元子3),松田由紀3)
所属
公立羽咋病院 臨床検査科1),同 栄養科2),同 看護部3)
キーワード
CONUT値,炎症,転帰