要旨
本邦では2019年末より,現行の経腸栄養用誤接続防止コネクタである医薬発第888号広口タイプコネクタ(以下,現行コネクタと略)が廃止され,誤接続防止コネクタに係る国際新規格であるISO80369-3(以下,ISOコネクタと略)が導入される.ISOコネクタのオス型コネクタは内腔の最小口径が狭いため,ミキサー食の注入に際し,注入圧の上昇によって注入が困難になる懸念がある.今回,小児病院3施設それぞれにおいてミキサー食の胃瘻注入を行っている患児の家族3名,看護師3名の計6名に対し,各施設の標準的ミキサー食の注入を行い,現行コネクタとISOコネクタの比較を行った.同時に,用いたミキサー食の物性も検討した.注入実験において,観察項目のミキサー食の投与時間,シリンジ持ち替え回数,主観的評価の「負担感」と「問題なく使用できるか」,いずれにおいても現行コネクタとISOコネクタで統計学的な有意差は認められなかった.この結果から,ISOコネクタでのミキサー食の注入は現行コネクタと変わりなく可能と判断された.
学会誌JSPEN Vol.1 No.4
ミキサー食における新誤接続防止コネクタ(ISO80369-3)のユーザビリティー評価 ―ヒトによる官能評価試験―
著者
丸山道生1) 2),栢下 淳3),高見澤滋4),渡邉誠司5),高増哲也6),東口髙志1) 7)
所属
日本静脈経腸栄養学会臨床研究委員会・誤接続防止コネクタ検討ワーキンググループ1),田無病院外科2),県立広島大学人間文化学部健康科学科3),長野県立こども病院小児外科4),静岡県立こども病院神経科5),神奈川県立こども医療センターアレルギー科6),藤田医科大学外科緩和医療講座7)
キーワード
ミキサー食,胃瘻栄養,誤接続防止コネクタ