要旨
【目的】地域包括ケア病棟入棟患者の匂いの検査を行い,在宅復帰を目指した患者の栄養管理に役立つか検討した.【方法】患者25 名を対象として,5-2 法で匂いの検査を行った.総点数を中央値で分類し,0~2 点を低値群,3~5 点を高値群として,栄養状態(geriatric nutritional risk index;以下,GNRI と略),口腔内状態(oral health assessment tool 日本語版;以下,OHAT-J と略),日常生活動作(Barthel index;以下,BI と略),認知機能(mini mental state examination Japanese;以下,MMSE-J と略)のスコアを比較した.【結果】低値群と高値群の比較では,年齢(p<0.001),GNRI(p=0.005)に有意差が認められた.OHAT-J(p=0.063)は低値群で高く,BI(p=0.062),MMSE-J(p=0.091)は低値群で低い傾向が認められた.匂いの感度が低下していた患者は,舌と口腔清掃の不良が高率に認められ,口腔状態悪化と関連している可能性がある.【結論】匂い検査を含む多角的な評価の実施は,高齢患者に対する栄養治療計画の一助となり,栄養介入に役立つ.
学会誌JSPEN Vol.2 No.1
匂い検査の導入は地域包括ケア病棟入棟患者の栄養管理計画に役立つ
著者
永井 徹1),高橋 忍2),吉田可奈子3),坂井邦彦4)
所属
新潟医療福祉大学健康栄養学科1),新潟臨港病院歯科2),同 栄養科3),同 内科4)
キーワード
地域包括ケア病棟,匂いの検査,栄養評価