要旨
症例は60 歳代男性,ADL 全介助.自宅では全粥ペースト食を摂取していたが摂取に30 分以上を要し,家族が飲み込みの悪さを感じていた.来院1 日前に喀痰増加を認め,翌日に食後の意識障害が出現したため当院内科を受診.誤嚥性肺炎の診断で同日入院となった.意識障害があり,絶食で点滴抗生剤加療を開始.加療後は意識障害が改善し,入院後7 日目に端座位で改訂水飲みテストを実施し,判定4 で全粥ペースト食を開始した.食事摂取に30 分以上を要しており,退院前に口腔期障害への介入が必要と判断し,入院後42 日目に0°仰臥位で改訂水飲みテストを実施.判定4 だったため同体位で食事摂取を開始したところ,摂取時間は15 分と短縮を認めた.入院後60 日目に端座位で改訂水飲みテストを再検.判定4 で,前回と比較し嚥下反射までの時間は短縮を認めた.以降は座位での摂取時間は15 分程度であった.一時的な0°仰臥位での食事摂取で摂取時間が短縮した症例を報告する.
学会誌JSPEN Vol.2 No.1
口腔期障害に対し,一時的な仰臥位法(0°仰臥位法)を導入した1例
著者
松井亮太1)7),高 礼子2),苗代時穂2),的場加代子3),柳澤優希4),井出浩希5),金沢一恵6)
所属
公立穴水総合病院 内科1),同 看護部2),同 栄養部3),富山医療生活共同組合 富山協立病院 リハビリテーション科4),医療法人三紲会5),国立病院機構 七尾病院 リハビリテーション科6),順天堂大学医学部附属浦安病院 消化器・一般外科7)
キーワード
嚥下機能障害,仰臥位,口腔期障害