学会誌JSPEN 第2 巻の第1 号をお届けできることになった.私は昨年から副編集委員長を拝命しているが,国内他学会でも副委員長や委員として学会誌の編集に携わっており,英文誌の査読も現在10 誌ほどさせていただいている.一方で,本会を始め多くのセミナーや講演会に関わっており,これまで沢山の方々の「書く」と「話す(プレゼンテーション)」をいずれも目の当たりにしてきた.
 不思議なことに,実績・能力があるはずなのに,どちらかのレベルが余り高くないと感じる医療者がいる.その理由は,「話す」と「書く」では求められることが少し違うからである.「話す」ときは,短時間で聴衆に少しでも多く理解してもらうためのスライドの工夫や分かりやすい表現が求められる.しかし,「書く」内容は十分な時間で査読されるので,多少細かくても正確で十分な情報がなくてはならない.同じ研究成果を発信する場合でも,「話す」と「書く」では作成する図表はある程度違っていて然るべきである.
 一般的に論文を「書く」のは学会発表後が多いと思うので,学会での議論を踏まえて,必要十分な情報を提供し得る図表と入念な考察が必要である.そのためには,投稿前に著者全員でよく推敲してほしい.以前も編集後記で書かれていたが,「とりあえず投稿して,査読者に直してもらおう」という感じの論文は,しばしば投稿規定も守られておらず,直す以前にゴミ箱に入る可能性も高い.「内容も読まずに形式だけで」と返してきた先生もかつて経験したが,字数や行数を規定通りに設定することは当然であり,査読をお願いする最低限のマナーである.逆に,何とか掲載したい,と感じる論文に出会うと査読も必死になり,何度かやりとりした後の掲載決定時には,自分も著者の一人になったような達成感がある.著者で可能な限りの完成形にして投稿された論文の熱意は査読者に必ず伝わり,学会誌JSPEN の発展とわが国の臨床栄養代謝学の進歩に寄与することは間違いない.是非そのような論文が続々と投稿されることを期待したい.



2020 年3 月吉日
e-journal 「学会誌JSPEN」編集委員
鍋谷 圭宏




編集委員会
委員長 :佐々木雅也
副委員長:鍋谷 圭宏
編集委員:池松 禎人  犬飼 道雄  大平 雅一
     小山  諭  千葉 正博  長沼  篤
     林  宏行  丸山 道生  森實 敏夫

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学会誌JSPEN Vol.2 No.1
令和2年3月13日発行

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