要旨
リフィーディング症候群は,飢餓状態にある低栄養患者が,栄養を急に摂取することで水,電解質分布の異常,心合併症を引き起こす病態であるが,低血糖との関連は明らかではない.BMI が14 未満の低血糖を伴うリフィーディング症候群を発症した12 例の本邦報告例を検討したところ,たこつぼ型心筋症や心停止を含む致死的な心合併症を10 例に発症していた.機序は不明な点が多いが,低栄養状態でのエネルギー供給による過剰なインスリン分泌が低血糖を生じ,低血糖によるカテコラミンの過剰分泌がたこつぼ型心筋症をひきおこすことが推察された.また,心筋への不十分なエネルギー供給が心合併症の要因と考えられた.この病態は重症化する可能性があるため,極度の低栄養患者には心電図モニターや血糖値および電解質管理等の全身管理を要する.目標投与エネルギー量を適切に設定し,リフィーディング症候群およびそれに伴う合併症を予防しつつ厳密な栄養管理が必要である.
学会誌JSPEN Vol.2 No.2
極度の低栄養状態における低血糖に伴うリフィーディング症候群
著者
清水健太郎1),小倉裕司1),高橋弘毅1),和佐勝史2),平野賢一3)
所属
大阪大学医学部附属病院 高度救命救急センター1),大阪大学医学部医学科教育センター2),大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学3)
キーワード
リフィーディング,低血糖,心停止