要旨
68 歳,女性.摂食障害による極度のるい痩を認めていた.血便と腹痛を主訴に当院消化器内科を受診し,採血で貧血と凝固系の悪化を認め入院となった(1 病日).4 病日にCT 撮像したところfree air を認め当科紹介となった.直腸穿孔,肛門周囲膿瘍および壊死性筋膜炎の診断で緊急手術を施行した.17 病日に下行結腸穿孔の診断で2 回目の手術を施行した.20 病日TP 3.6g/dL,Alb 1.0g/dL と低栄養の改善を認めないことから,29病日よりメテノロン10mg/ 日の投与を開始した.また,36 病日から通常の経腸栄養に加えアバンド® 2 包投与(投与総たんぱく76g/ 日)を開始した.81 病日にはTP 7.1g/dL,Alb 2.8g/dL と栄養状態の改善を認め,アバンド® 投与を終了した.特に副作用は認めることなく,メテノロン内服は継続のまま125 病日に自宅へ独歩退院となった.
学会誌JSPEN Vol.2 No.2
壊死性筋膜炎,直腸穿孔および結腸穿孔後の低栄養に対し,メテノロンとβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸併用投与が奏功した1例
著者
市之川正臣1),大野耕一1),森多喜子2)
所属
JA 北海道厚生連 帯広厚生病院 外科1),同 NST2)
キーワード
周術期低栄養,メテノロン,β- ヒドロキシ-β- メチル酪酸