2020 年も5 月に入ったが,新型コロナウイルス(COVID-19)感染の全国各地での収束の目処はまだ見えていない状況である.緊急事態宣言は連休後も延長される見通しであると報道されているが,本学会誌を読者が閲覧される5 月下旬にはある程度,感染者数が落ち着いて,自粛要請が段階的にでも解除されていくことを願っている.現時点ではCOVID-19 に対する特効薬は存在せず,回復には感染者の体力・免疫力に頼るところが大きい.日本臨床栄養代謝学会では東口理事長の英断により4 月10 日付で「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療と予防に関する栄養学的提言―JSPEN12 の提言―」をホームページ上に掲載した.すでに多くの方がお読みになっていると思うが,治療法が確立されていない疾患に対しては個人個人の体力・免疫力に頼らねばならず,そのためにはいかに栄養状態を良好に保つことが大切であるかを社会・国民に訴えており,日本臨床栄養代謝学会の国民の健康に対する役割が大きいことを改めて感じた.
 さて,5 月29 日刊行の学会誌JSPEN 本号であるが,総説では清水健太郎氏がリフィーディング症候群における栄養管理上の重要なポイントを分かりやすく述べておられるので,ぜひご一読いただきたい.原著論文は,小野寺英孝氏による脳卒中患者での高エネルギー高たんぱく消化態栄養剤等の有用性,河合美佐子氏によるタブレット端末を用いた遠隔在宅食事支援システム,佐藤 謙氏による高齢脳卒中患者での入院時肥満のリハビリテーションに与える影響,沖田充司氏による摂食嚥下チーム立ち上げとPEG 導入の4 編である.
症例報告は,松井亮太氏による食道逆流を伴う嚥下障害に対する頭部挙上位の効果,市之川正臣氏による重症例でのメテノロンとβ-ヒドロキシ- β-メチル酪酸併用投与,西原佑一氏によるPTEGを用いたQOL 改善の3 編である.研究報告は吉田 稔氏らによるICU での栄養療法の多施設横断研究,施設近況報告では絹川雅夫氏による嚥下内視鏡を用いた嚥下機能評価の各々1 編である.
さらに2019 年学会フェローシップ賞を受賞された畠山淳司介氏による第41 回ESPEN(ポーランド, クラクフ)参加報告も掲載されている.
 COVID-19 の影響で臨床研究にも制限がある現状であるが,今後も栄養に関する研究を発展させ,その成果を社会に還元していくことが求められているものと考える.



2020 年5 月吉日
e-journal「学会誌JSPEN」編集委員
新潟大学大学院保健学研究科 小山 諭





編集委員会
委 員 長:佐々木雅也
副委員長:鍋谷 圭宏
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     小山  諭  千葉 正博  長沼  篤
     林  宏行  丸山 道生  森實 敏夫

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学会誌JSPEN Vol.2 No.2
令和2年5月29日発行

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