要旨
【目的】PICC(peripherally inserted central catheter;以下,PICC と略)挿入前に至適な挿入長の予 測は困難なため,事前の身体計測に基づいたPICC 挿入長の予測式の作成を目的とした.【対象および方法】2016 年5 月から2017 年5 月までにPICC を挿入した患者(n = 222)を対象とした.対象患者の身体計測は,胸骨 上下長1/2 の長さ(Acm),胸骨上縁中央から上腕骨頭の長さ(Bcm),上腕骨頭からPICC 刺入部の長さ(Ccm) を計測し,合計した長さを[Xcm]とした.PICC 挿入長と体表計測の関連因子を抽出し,重回帰分析を用いて PICC挿入長の予測式を算出した.【結果】PICC挿入長の簡易予測式は,Xcm×0.63+11.1-Ycm+Zcm[ X: 身体計測(Acm + Bcm + Ccm),Y:右上肢の場合1.99cm,左上肢場合0cm,Z:上腕静脈の場合0.85cm, 尺側皮静脈および橈側皮静脈の場合0cm]となった.【結論】PICC 挿入長は体表計測に基づいた簡易予測式を用 いて挿入前に予測が可能であるが,胸部単純レントゲンによるPICC 先端位置の最終確認は必要である.