要旨
【目的】栄養療法を行っている透析患者に対する透析中の運動療法の効果について,骨格筋量指標(skeletal muscle mass index;以下,SMI と略)に着目して後方視的に検討した.【対象および方法】当院に通院中の透析 患者26 名を対象とし,運動療法を施行した14 名(平均年齢62.7 ± 7.55 歳)を介入群,施行しなかった12 名(平均年齢66.3 ± 12.5 歳)を非介入群とした.両群ともに,日常的な栄養療法に加えて,管理栄養士・看護 師が食事指導を行った.各群のSMI の6 カ月での変化量と変化率を調査し,比較した.【結果】SMI の変化量は, 介入群で6.44 ± 0.94 kg/m2 から7.06 ± 1.00 kg/m2 に有意な増加を認めた(p = 0.000)が,非介入群で は有意な変化は認められなかった.SMI の変化率は,介入群が109.85 ± 7.13%,非介入群が99.90 ± 6.94% と,介入群が有意に高値を示した(p = 0.001).【結論】透析患者において,運動療法と栄養療法での介入は, SMI を増加させる効果があると示唆された.