要旨
【背景】嚥下障害を有する高齢者に対する胃瘻からの経管経腸栄養(以下,胃瘻栄養と略)と中心静脈栄養 の長期アウトカムの比較を行った.【対象・方法】2014 年からの3 年間で胃瘻栄養もしくは中心静脈栄養を開始 した症例を対象とし,傾向スコアマッチングを行い主要アウトカムを生存期間,副次アウトカムを経口摂取回復, 在宅復帰,重症肺炎,敗血症とした.【結果】253 例(胃瘻栄養180 例,中心静脈栄養73 例)を同定し,それぞ れ55 例ずつにマッチングされた.生存期間中央値は胃瘻栄養群317 日,中心静脈栄養群195 日,ハザード比 0.60(95%信頼区間,0.39-0.92;p=0.019)であった. 重症肺炎は胃瘻栄養群に多く(50.9% vs 25.5%, p=0.010),敗血症は中心静脈栄養群に多かった(10.9% vs 30.9%,p=0.018).【結語】胃瘻栄養は中心静脈 栄養に比べ有意に長い生存期間と敗血症のリスク低下をもたらすが,重症肺炎は有意に多かった.