要旨
【目的】在宅高齢者の終末期栄養療法に関わるチームの合意形成における訪問看護師の支援を明らかにする.【対象と方法】訪問看護師11 名を対象に半構成的面接を用いた質的記述的研究を行った.【結果】6 カテゴリーが生成された.訪問看護師はチームの合意形成にむけて【食べることに対する本人や家族の意向を把握しておく】ことから対話を始め,食べることが困難になった時に【栄養療法の意向を関係者間で情報共有し話し合いの準備】をしていた.話し合いの過程では【本人や家族と医療や介護の関係者の栄養療法に対する方向性を整える】【話し合いの場で本人や家族の意向に沿った栄養療法の選択を支える】【安らかな最期を迎えられるように食べることや点滴をやめる選択を支える】ことを行い【本人や家族や関係者の思いを通して選択した栄養療法の評価】をしていた.【結論】訪問看護師は,食べることの変化を通して,本人の意向を基軸に家族や医療や介護の関係者の意向も整え,対話を継続しながらチームの合意を図っていた.これらは,本人を尊重しつつも家族や周囲との関係性を大切にする日本の文化を踏まえた支援であることが示唆された.