要旨
【目的】経腸栄養分野の相互接続防止コネクタがISO80369-3(以下,ISO 規格と略)に変更される.栄養剤投与を模した装置を作成し,細菌汚染について国内規格と比較し,さらに変換コネクタをつけて実験的に検証した.【方法】装置に栄養剤を1 日2 回14 日間注入し,フラッシュした精製水を試料として培養後,細菌数の測定および菌種同定を行なった.変換コネクタは連日使用,毎日洗浄,毎日交換の3 群で比較した.【結果】細菌数が104 CFU/mL を超えたのは両規格とも9 日目で,変換コネクタ使用時は7 日目であった.下痢や敗血症に関連する細菌が同定された.変換コネクタの3 群間に違いはなかった.【考察】両規格とも9 日以降で細菌性有害事象の可能性が高まるが,ISO 規格への変更は細菌汚染に影響しないと考えられる.日常臨床とは異なる実験モデルであるが,変換コネクタを用いる場合は細菌汚染に注意する必要性が示唆された.移行時期には極力ISO 規格と国内規格を混在させないことが望ましい.
学会誌JSPEN Vol.2 No.5
新規格経管栄養器具(ISO 80369-3)における細菌汚染の経時的変化の検証
著者
古屋宏章1),石野敬子2),熊木良太1),岸本桂子1),倉田なおみ1)
所属
昭和大学薬学部 社会健康薬学講座 社会薬学部門1),同 臨床薬学講座 感染制御薬学部門2)
キーワード
ISO80369-3,細菌汚染,経腸栄養