要旨
【目的】栄養不良患者の腎機能評価における筋肉量測定の重要性を検討した.【対象および方法】当施設におけるNST 対象患者50 名の身体計測を行い,さらにクレアチニンあるいはシスタチンC から求められる腎糸球体濾過量推算値(eGFRcreat, eGFRcys)とクレアチニンクリアランス(Ccr),推定クレアチニンクリアランス(eCcr)を算出した.【結果】対象患者の下腿周囲長と上腕筋面積は,日本人の新身体計測基準値に比して減少しており,eGFRcreat とeGFRcys により評価したCKD ステージは,筋肉量減少が大きいほど乖離を認めた.eGFRcreat に比べてCcr,eCcr,eGFRcys による腎機能評価はより重度と判定され,Ccr と最も相関したのはeGFRcys であった.【結論】栄養不良患者の筋肉量の評価は必須であり,筋肉量減少が明らかな場合の腎機能評価にはeGFRcys が有用である.