重症度の判定は必要ですか? また、重度低栄養の基準値はどう設定しますか?

まず低栄養の診断をすることが重要です。その上で重症度の判定を行います。
重症度を診断する3つの表現型基準のうち、アジア人においては、「体重減少」のみ重度低栄養の基準値が示されています。したがって、アジア人を対象に、重症度の判定を行う際は、「低BMI」と「筋肉量減少」において、重度低栄養の基準値を、各施設の実情に応じ設定する必要があります。

「GLIM基準を⽤いた栄養アセスメントの実施例」として紹介している医療施設では、過去の症例のデータを解析し、重度低栄養の低BMIの基準値を求め、70歳未満では17.0 kg/m2, 70歳以上では17.8 kg/m2と定めています。(Maeda K, et al. Clinical Nutrition 2020;39:180‒184.)

また、筋肉量の評価に用いた下腿周囲長に関して、中等度低栄養の基準値(男性; 30.0cm, 女性; 29.0cm)からおよそ10%低い値(男性; 27.0cm, 女性; 26.0cm)に重度低栄養の値を設定し、有用性が検証されています。(Mori N, et al. Clinical Nutrition 2023 Feb;42(2):166-172. )

GLIMでは具体的な重度低栄養の設定方法に言及していません。重度の「低BMI」や「筋肉量減少」のカットオフ値の設定に困る際は、中等度低栄養の基準値より10%程度低い値をまず設定し、自施設で運用しながらその値を検証してみる方法は、有用性が高いかもしれません。

(参考までにGLIMの原著では、非アジア人の中等度低BMIのカットオフ値は70歳未満が20 kg/m2、70歳以上が22 kg/m2で、重度低BMIのカットオフ値は70歳未満が18.5 kg/m2、70歳以上が20 kg/m2となっています。)